先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~

「よし、みんなシャンパン持ったな。ここは年長者の水沢さん、乾杯の音頭どうぞ!」

小山さんの振りに水沢さんが「え~俺~?」なんて言ってたけど、ゴホンとひとつ咳払いをして畏まった。

「え~では、僭越ながら私から。二人のことは仕事上いいパートナーと思ってたけど、付き合ってるとは知らなくて驚いた。でも、ファンも多かった癒し系の花笑さんが選んだこの航は、自分にも他人にも厳しい上に仕事人間で、いつ休息してるのかと心配になるほどだったが、最近は機嫌も良さそうで穏やかな顔をしてるのを見ると、花笑さんのお陰なんだなと思う」

水沢さんの言葉にちょっと恥ずかしかったけど航さんの方を見ると目が合った。航さんはなんとも言えない顔をしている。
浅野さんが横で水沢さんをつつく。

「水沢さん話長い!」

「お、おう!とりあえず、花笑さん!よくぞ航と結婚してくれた!ありがとう!二人とも結婚おめでとう!乾杯!」

「「かんぱーい!」」

みんなクスクス笑いながら乾杯した。航さんだけ渋い顔で何か言いたげなのが余計に可笑しい。

「そして、花笑ちゃん!誕生日おめでとう!」

みんなでグラスを合わせてると、小山さんが言ってくれた。そしてまたグラスを合わせる。

「ほら、火を消して‼」

「皆さんありがとうございます!」

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