先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~

嬉し楽し社員旅行!‼


今日は社内研修とは名ばかりの二泊三日の社員旅行。

今時珍しく豪勢なホテルと温泉に、毎年楽しみにしている社員が多いらしくてほぼ全員参加。バス5台連ねて走っているとだんだん海が見えてきた

「花笑さん!海っ海が見えて来ましたよ!」

思わず興奮して叫んでしまった。

「なーつのー、子どもじゃないんだから落ち着けー。恥ずかしいやつだなー」

後ろから小山先輩がからかって来るものだから周りから笑い声が…

「うっすいませーーん」

恥ずかしくなって縮こまってしまった。

「ふふっ知佳ちゃん大丈夫?」

「うー花笑さんまで~」

半泣きで花笑さんを見るとゴメンゴメンと言って頭を撫でてくれる。

今回は花笑さんとバスも隣、部屋も同室。
今日こそはもうストレートに聞いてしまおうと意気込んで来た。
鈍感な私じゃ見抜けないし、ずっともやもやしていたくない。日野さんのこと好きだと花笑さんに告白したらきっと日野さんが恋人かどうかは答えてくれるはず。どっちに転ぶかわからないけど覚悟を決めた。

里美にも伝えたらいつものように、

「いいんじゃない?健闘を祈る!」

と言われた。

好きな人のこと里美以外に言うのは初めてだ。

「頑張れ私…」
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