先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~
「オー海気持ちいいなー」
「置田ーお前泳いでこいよ」
「やですよーこんな季節外れに!クラゲだらけじゃないですかー」
「あっははは、お前クラゲに刺されてこい!」
後ろの男性陣もワイワイ騒ぎながら歩いて、バスに乗ってて凝り固まった体を伸ばしたりしている。
珍しいのは鬼課長……もとい、山片課長も一緒に来てること。あんまり群れて行動するのは好きそうではないのに。
一人みんなとは離れてるとこはやっぱりかって感じだけど。
「松崎、知佳ちゃん」
日野さんに呼ばれてびっくりした。
「ひ、日野さん今っ、ち、知佳ちゃんって……!?」
爽やかな笑顔をこちらに向けて、
「松崎がいっつも知佳ちゃんって言ってるからつい…、嫌だった?」
と言って首を傾げて聞いてくる。日野さんその仕草めっちゃヤバいっす!!
「ぜっ全然!日野さんに名前で呼んでもらえるなんて光栄です‼」
ドキドキして顔が真っ赤なのを自覚しながらそう叫んでた。
「あっはは、光栄だなんて大袈裟な」
日野さんは笑っているけど、はっと気付いて周りを見るとなんとも生温かい視線が。
あーーーっこんな態度したら日野さん好きなことばれちゃう!(いや、もうばれてる?)
恥ずかしくなって思わず花笑さんを見たら、満面の笑みでこちらを見ていた。
けどもし、日野さんが彼氏だったら今の嫌だったかな?