先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~

「オー海気持ちいいなー」

「置田ーお前泳いでこいよ」

「やですよーこんな季節外れに!クラゲだらけじゃないですかー」

「あっははは、お前クラゲに刺されてこい!」

後ろの男性陣もワイワイ騒ぎながら歩いて、バスに乗ってて凝り固まった体を伸ばしたりしている。

珍しいのは鬼課長……もとい、山片課長も一緒に来てること。あんまり群れて行動するのは好きそうではないのに。
一人みんなとは離れてるとこはやっぱりかって感じだけど。

「松崎、知佳ちゃん」

日野さんに呼ばれてびっくりした。

「ひ、日野さん今っ、ち、知佳ちゃんって……!?」

爽やかな笑顔をこちらに向けて、

「松崎がいっつも知佳ちゃんって言ってるからつい…、嫌だった?」

と言って首を傾げて聞いてくる。日野さんその仕草めっちゃヤバいっす!!

「ぜっ全然!日野さんに名前で呼んでもらえるなんて光栄です‼」

ドキドキして顔が真っ赤なのを自覚しながらそう叫んでた。

「あっはは、光栄だなんて大袈裟な」

日野さんは笑っているけど、はっと気付いて周りを見るとなんとも生温かい視線が。
あーーーっこんな態度したら日野さん好きなことばれちゃう!(いや、もうばれてる?)
恥ずかしくなって思わず花笑さんを見たら、満面の笑みでこちらを見ていた。

けどもし、日野さんが彼氏だったら今の嫌だったかな?

< 34 / 272 >

この作品をシェア

pagetop