先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~

落ち着きを取戻し一息ついて、お酒を一口飲んで私は疑問に思ってたことを口にした。

「山片課長のことどうして隠してたんですか?」

この質問に答えてくれないかな?と思ったけど、うーんとちょっと考えて、

「ちょっと長くなるけど聞いてくれる?」

話してくれる事に嬉しくなって食いぎみに、「もちろんです!」と言ったらちょっと引いていたけど話してくれた。

「コウくん……山片課長は私の家庭教師だったの…」

「えっ?、この会社で会ったんじゃないんですね」

「そう、
………
私が高校受験を控えた中学3年の時、家で落ち着いて勉強がしたいと家庭教師を頼んで、来てくれたのが当時大学3年生だった航さん。その頃から航さんはかっこよくて私は一目惚れして…。
毎週家に来てくれるのが楽しみだったし、褒めてもらえるのが嬉しくて勉強も頑張った。
その頃の私は向こう見ずというか無邪気で先生大好き!って恥ずかしげもなく言っていたの。
みんなはわたると呼んでるなら同じになるのが嫌で、自分を特別に見てもらいたくてコウくんと呼ぶようにしたり。」

「へぇ、積極的なんですね。今はあまり想像できない」
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