先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~
「でも、また呼び出されてたところを山片さんに発見されて、状況を察して助けてくれて。実はもう半年も前に操さんとは別れてたことがその時にわかったの」
「えっ別れてたのに嫌がらせ続けてたってことですか?ひどい!操さんって人、なんて人なんですか!山片さんもそんな人と良く付き合っていましたね!」
私は思わず声を荒げてしまったので、慌てて花笑さんが弁解した。
「あ、でもね、操さんは嫌がらせのこと知らなかったみたいなの。最初に私と会った時以外は総務部の先輩二人が勝手にやってたみたいで…」
「そうなんですか・・・」
トーンダウンはしたけどなんだか納得しない。そもそものきっかけは操さんなのでは?
「助けられた時に操さんもいてその時知ったみたいなの。そのあと私は営業部に移動になって、先輩方も転勤でいなくなって、嫌がらせされることもなくなって安心してたんだけど、その頃操さんだけは怖くてね…」
困った顔して言葉を紡ぐ花笑さんが凄く辛かっただろうなと想像できる。
「航さんはそれ以来何かと気にかけてくれて、食事に誘ってくれたり、プライベートを一緒に過ごしてくれてたのよ。
だからやっぱり好きで告白したんだけど、明確な返事がもらえないままあしらわれるばっかりでいたから、知佳ちゃんには付き合ってるってはっきり言えなかった。
操さんのことが怖かったから社内に噂が立つようなこともしたくなくて…。今まで黙っててごめんね?」