先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~
眉をハの字にしてほんとに申し訳なさそうに謝ってくれる。
私はううんと首を左右に振って、
「花笑さんは悪くないです。そんな辛いことあったら誰だって怖くなります」
「・・ありがとう、知佳ちゃん」
やっと悲しそうな顔から安心したようにふっと笑ってくれた。
「あ、そういえば、前に社長たちが来たとき青い顔してましてたよね。その、操さんって・・?」
「・・そう、社長秘書の置田操さん」
置田君のお姉さんでもある・・
「花笑さん呼びだしたりして、結構キツイ人なんですね。鬼課長とお似合いといえばお似合いかも・・」
思わずつぶやいてしまったけど、今のは失言だった!はっと気づいて恐る恐る横を見る。
ちょっとムッとしてほほを膨らましてこちらをじっと見てる。
そんな睨んでもかわいいだけですよ花笑さん。
「航さんは優しいのよ。鬼課長なんて呼ばれてるけど、仕事に真摯に向き合ってるだけ。
それに、操さんも素敵な女性で…最近知ったのだけど、先輩たちのやったことのお詫びにって、私の営業部の移動も先輩方の動向も操さんの口添えがあったみたいなの。ほんとは私用なことでそんなことしてはいけないけど、私の働きやすいようにって動いてくれたみたい。今は・・・感謝してる。」
さすが、花笑さんどんな人でも悪く言わない。
「感謝してるってことは…今は怖くないってことですか?」
「そうね・・まだ、会うと緊張してしまうけど、大丈夫かな」