先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~
いきなり俺の家でちょっと混乱してるみたいだが、先ほどよりは意識がはっきりしてるみたいだ。
下ろそうと前屈みになるとヒシッとすがり付いてくる。
「ん!?」
なんだと思って顔を覗き込むと、赤い顔した花笑が上目使いでおずおずと
「お、降りなきゃダメ?」
目もとに涙をためてじっとこちらを見たと思ったらまた首に腕をまわしてしがみついてくる。
「もう少しこのままで…」
「……」
震えて必死な様子に根負けした俺は、フーッとわざと長いため息をついてスタスタとそのまま歩き、どかっとソファーに座った。
「さすがにずっと立ったままじゃ無理だ。これならいいだろ?」
赤い顔のままコクりと頷いた花笑は安心したように笑って抱きついてくる
そうしてしばらくすると静かな寝息が聞こえ、顔を見るとまるで子供みたいにあどけない寝顔で、すっかり夢の中にいるようだ。
ふわりと笑っているように見える。