先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~
嫉妬と恋心
ある日
日野と置田の3人で打ち合わせをしようと小会議室に向かっていると、西川が向かいから歩いてきて俺たちを呼び止めた。
「あの、…あっ・・」
目の前に来たと思ったら、突然倒れて、とっさに受け止めた俺はその場にしゃがみ込む。
「おいっどうしたっ!?」
「西川さん!大丈夫かっ?」
「うへっどうしちゃったんですか!?」
日野が両頬を包んでペシペシ叩いて呼び掛けているが無反応。
置田はおろおろしてる。
貧血か?
抱きかかえたまま立ち上がる。
「医務室に連れていく」
「わっ私が付き添います」
「は・・、ああ、頼む」
駆け寄ってきた花笑に、思わず名前で呼びそうになったのをぐっと堪え、後ろで不安そうに付いてくる花笑に気付かぬまま医務室へと向かう。
常駐している勤務医は白髪の混じった80位の老人で、おじいちゃん先生と呼ばれ慕われていた。
その先生に状況を説明して見てもらったが、
「顔色も悪くないし、脈拍も正常、少し休めば大丈夫だろう。」
「そうですか・・」
大事に至らなくてよかった。
ほっとして花笑を見ると、何か言いたそうな目でこちらを見てくる。
「ちょっとすいません。」と言って、二人で一旦廊下に出て花笑と向かい合う。