先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~
航said
-----
---

思ったよりも仕事が早く終わり、
たまには早く来て花笑を待っていようと、待ち合わせのホールに着いた。
待ってる間に映画のチケットを予約してると声をかけられた。

「こうくん!」

「ん?花笑?随分早いな」

「こうくんこそ!こんなに早くどうしたの?」

「ああ、仕事が早く終わったからな、たまには早めに来てみようと……、ん?なんだ?」

ニコニコとこちらを見つめてくる花笑。

「会社以外でこうくんに会うの久しぶりで嬉しくて…」

職場と違って今日はメガネをかけてない。
笑いながらも目にうっすら涙をためて、本当に嬉しそうに言うものだから焦ってしまう。

「おい、そんな泣くほどのことか?」

「だって、最近ホントに会ってくれないし、西川さんといつも一緒にいるし……」

今度はうつむき、拗ねたように言ってくるから、顔を覗き込んだ。

「最近本当に忙しかったんだ、仕方ないだろ。それに何で西川が出てくるんだ?」

< 72 / 272 >

この作品をシェア

pagetop