先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~
お小言を言われてプーッと頬を膨らます。
すると、大きな手がニュッと頬をつまんで、膨らみを潰された。
「なに拗ねてんだ、お前仕事でもパソコン使ってるんだからこれぐらい覚えろ」
「だってぇ~」
頬をつままれとんがったままの口で言うと、面白かったのか、プッと吹き出して手を離した。
んも~!
じと目で無言の抗議をしていると、こうくんは苦笑い。
「わかったわかった。腹減った、飯はまだか?」
「あっそうだご飯!もうすぐできるよ」
料理中だったのを思い出して盛り付けを再開し、こうくんも配膳を手伝ってくれて夕食が完成した。
私にはちょうどいい座卓も、体の大きなこうくんには小さすぎていつも窮屈そうにしている。
申し訳ないなと思いながらも、一緒に「いただきます」と言ってご飯を食べるこの光景がこの上なく幸せに思う。
「うん、うまい」
私に向かって言う、というより呟くように言ってくれるその一言がほんとに嬉しい。