先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~
「最近西川さんといつも一緒にいたものね、いつまでも子どもで女として見れない私より、美人で大人な西川さんの方が魅力的で、こうくんはそういう大人な人が好きなのよね、操さんのことだって・・・!」
「おい!花笑!」
苛立たしげに声を荒げるこうくんの言葉も耳に入らず、興奮していた。
今まで押し殺してきた不安が溢れ、涙が頬を伝い、嗚咽が漏れ顔を覆った。
「ううっ‥こんなに好きなのに!こうくんは他の人の所に行ってしまうの!?私どうしたら…っ」
暗い闇の中に堕ちていく感覚が押し寄せてきたとき、ガシっと腕を取られ顔から手が離れたと思ったらまた目の前が暗くなった。
いつの間にか傍に来ていたこうくんに頭を抱えられるように抱きしめられていた。
「お前、さっきから何言ってんだ…少し落ち着け」
低く静かな声に、正気を取戻し黙り込んだ。暖かな胸に安心感が生まれる。
「っ‥ううっ‥」それでも涙は止まらない。
ギュっとより強く抱きしめられ、頭に頬が摺り寄せられた。