先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~
オフィスラブ
次の月曜日
知佳ちゃんにデートのこと聞かれて、
「映画見たの。楽しかったよ」
と、あの日のことを思い出して顔がにやける。
「彼氏さんっていったい誰ですか?教えてくださいよ~」
と聞かれ、言ってしまいたかったけど、まだ言えない事情がある。
知佳ちゃんが噂を振りまくようなことはしないとわかっていてもまだ怖かった。
また、あの時のようになったら…
「う、うん。今はまだ言えないかな、ごめんね?」
目を伏せ、申し訳なさそうに言うと、知佳ちゃんにはそれ以上聞かれることはなかった。
あの日はあれから、目くるめく時間が…
と、いうことはなく…。
途中だった食事を再開し、泊まっていってくれて一緒に寝たけど、ただ抱きしめられて眠っただけ。
それだけでもとっても幸せだったんだけども・・・・
私、やっぱりそういう魅力ない・・・?
ちょっと落ち込み、無意識にこうくんの座っている席を見ると、下を向いていた目が不意にこちらを向き、バチッと目があった。
「っ…」
思わず、目をそらし顔を赤くした。
な、何動揺してるのよ私!!
想いが通じてから時間が経つと、なんだか恥ずかしくてこうくんの顔をまともに見られなかった。
あんなに好き好き言っていたのに可笑しなものだ。
もうしばらくは忙しくて、プライベートで時間が取れないと言っていたから、その間に落ちつけよう。
無意識にまたこうくんの顔をちら見しながら、ドキドキする胸を抑え、深呼吸する。
その様子を見られてるとも知らずに。