先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~
そう言ってまた迫ってくるから慌てて押し止めようと胸を押すけどびくともしない。
「まっまだお仕置きなの?」
「いや…一度だけじゃ足りない…」
左手は首の後ろを右手は腰をがっちりホールドされて、されるがまま。
「ん…んん…」
口を割られ舌が縦横無尽に口内を浸食する、もう力も抜けて立っていられなかった。
漸く離れ、ぐったりとして寄りかかると、しっかりと支えてくれて、頭上にも唇を落とされる。
「花笑、合コンなんか誘われても断れよ」
「うん…」
何も考えられなくてボーッとしていると、心配なのか念をおされ、暫く抱き締めてくれたけど、落ち着いてきた頃スッと離れ顔を覗き込まれた
「その顔、もう少し落ち着いてから出てこいよ」
ニッと笑って「俺は先に出る」と言って上機嫌で出ていった。
も~ぅこうくんのバカ!
心の中で悪態をついて、熱い頬を押さえる。
手が冷たくて気持ちいい。よっぽど赤くなってるのかもしれない。
こんな、会社でキスなんてドラマの中の出来事だと思ってた。
さっきの事が思い出されて余計に顔が熱くなる。
い、いけないいけない。まだ仕事中だった。
早く戻らないと!
早く落ち着こうと何回も深呼吸した。