先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~
それから何日かたった後、
いつもは来ることのない社長が営業部に姿を現した。
社長秘書の操さんを連れて……
一瞬目が合ったようで思わず下を向く。
やっぱりダメ、怖い…。
そんな様子を後ろで置田君が見ていたのも気づかずに震えていた。
知佳ちゃんに話かけられたようだけどまともに返事をする余裕もない。
「花笑さんどうしたんですか?」
「大丈夫、大丈夫だから気にしないで…」
「でも具合悪いんじゃ…」
「しっ今は騒がない方がいい」
置田君がたしなめて、社長一行の様子を見てる。
私こんな調子で操さんと話ができるのだろうか?
置田君が近づいてきて
「花笑さん、この後姉貴と話しましょう。姉貴なかなか都合つけてくれないから強行突破します」
「え、今?」
まだ心の準備もできてないのに!と思ってると、社長達が出ていった。
すかさず「いきますよ、花笑さん」と言って、腕を取られ有無も言わさず連れてかれた。
エレベーター待ちをしている一行にズカズカと近づき、
「姉貴」と呼ぶと、操さんは置田君と私を見た途端ため息をついた。
「光宏、ここ会社。姉貴と呼ぶな」
「話がある。ちょっと時間くれ」
置田君は咎められても構わず操さんを見据える。