先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~
「今さら、何とも思ってないわよ。あの頃本当は既に私達の仲は冷えていたのよ。……まあ、別れる切っ掛けにはなったかもね。」
「う…すいません」
思わず縮こまる。
「ふふ、もう終わったことよ。私はあなたのように、一途にあの人のこと愛せなかっただけ…。遠慮せずに付き合えばいいわ」
「…ありがとう…ございます」
今までの事が昇華されていくように涙が零れる。
操さんを避けてた2年間は無駄だったかもしれないけど、今日、話す事ができて良かった。
「花笑さん!これで姉貴のこと怖がる必要もありませんね!」
「なによ、さっきから人を鬼みたいに!」
「なんだよ~怒ると怖いくせに!」
小突き合う二人が仲良さそうに見えて微笑ましく思う。
「ふふっ本当に仲がいいんですね」
泣き笑いで言うと、二人はお互い見つめ合い笑い出した。
「あっははは、確かにこの歳になっても仲いいですよ。あ、でも、シスコんではないですよ!」
「私だってブラコンじゃないわよ!」
また言い合う二人が可笑しくて3人で笑った。
久々に何も考えずに笑う事ができた。
もう、怖くない。
噂ももう気にしない。
堂々と山片さんと付き合えると思うと嬉しくて晴れやかな気持ちで仕事に戻った。