セナカアワセ
私はそう言うと自分の荷物を持って、遙人君に背を向けた。




「こないだ、私にもやっと話してくれたんだよ。このこと。辛かったはずなのに。初めての彼氏だったんだ。きっと好きだった。好きで好きでたまらなかったから、想像以上の傷を負った。、、、、、、那美香はあと何回、恋した相手に傷つけられるんだろう。私はもう見ていられないよ、、、。」



そう言うと、私は昇降口に向かって歩き出した。




1度泣き止んだのに、また涙が出てくる。



私はポケットからスマホを取り出して、那美香に電話した。



きっと出ないよね。



思った通り出なかったから、伝言だけ入れといた。




「那美香?私今から会いに行くね。待っててね。」




そう言うとスマホをポケットに入れて走り出した。



那美香、




私走るの遅いけど、今までで1番早く走るから。




変なこと考えないでね?



自分のこと責めないでね。




そんなことを考えながら、電車に乗って、那美香の家までまた走った。



インターホンを鳴らすけど、誰も出ない。



那美香はいるはずなんだけど、、、



そっと扉を開けると、



脱ぎっぱなしのロファー。



これはどっちかっていうと、脱ぎ捨てたに近い。



お邪魔しますと呟くと、2階に行く。



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