セナカアワセ
ピンポーーーーン



「あっ、お兄ちゃん来たみたい。忘れ物ない?」




「うん。大丈夫だよ。栞里ったらお姉ちゃんみたいだね。」




そう言って笑うけど、見ててどこか苦しくなる。




外に出るとお兄ちゃんが車の前に立っていた。




「遊んでたのに〜。バレンタインなのに〜。彼女探してたのに〜。」




なんだよ、探してたのかよ、と心の中でツッコんだ。




「ごめん。今度なんかお礼するから。」




「ほー。、、、訳あり?」




「、、、、、、ちょっと。」




「なんほどな。まぁ、早く乗れよ。」




口では面倒くさそうにしているけど、私の頭をポンポンとして、車に乗った。




こういう時のお兄ちゃんは好き。



「那美香、荷物貸して。」




「ありがと、栞里。あっ、栞里のお兄さん、すみません。よろしくお願いします。」




「全然いいよー!那美香ちゃんだっけ?後ろに乗ってね〜」



さっきの私に対する態度と違いすぎる。




ちょっとムカつきながらも家まで乗せてもらう。




すると、くたっと私に寄りかかる那美香。



「どうしたって、あっつ!!熱あるんじゃないの?」



おでこに手を当てるとすごく熱かった。


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