セナカアワセ
帰る頃には両手がいっぱいになった。




「俺これ持つから、那美香はこれ持って。」




と、軽い荷物と交換した。




「ありがとう!あー、楽しかったね!!これからバーベーキューだし。」




「そうだな。」




「寂しい?直央先輩いなくなって。」



「うーん、少しは。助けてもらったしね。でも一生の別れじゃないし、栞里もいるから。そこまで寂しくはないかな。」




そう言う遙人の顔はちょっとだけ寂しそうだったけど、スッキリした顔でもあった。




「そっか。寂しくて泣きそうになったら、私がいるから大丈夫だよ!!私がバドミントンとか、バスケとかボーリングとか。たくさん連れ出してあげるから。」




「それはありがたいねー。でもまた俺が全部勝つと思うけど。」




「そんなことないし!!あっ、今思い出したことあるんだけど。クリスマスの時、ボーリングで遙人勝ったじゃん!その時のしてもらいたいことまだ聞いてない!」




初めて遙人と賭けをした時。




私は悔しくてしょうがなかったけど、負けは負けだから。




「あっ、そうだな。何がいいかなー。」




何分か考えていると、あっ、と私の方を見た。




「お願いがある。」




「うん、なに?」




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