セナカアワセ
第1節 冬の定番
季節は、冬。
雪は降っていないけど、肌寒くなってきた。
今月中には降るのかなー?
窓の外を眺めながら、今日も私は特等席にいた。
「寒くなってきたねー。ここ寒くない?」
「はい、大丈夫です。ここからの景色が1番綺麗ですから。」
図書の先生が頼んでいた本を持ってきてくれた。
「今日は来てないの?遙人君。」
「分かりません。約束しているわけじゃないんです。」
「そうなんだ。てっきり約束しているものだと思ってたわ。」
遙人がこの特等席に通うようになって、先生も私と遙人が一緒にいるのを見かけるようになっていた。
私が自分の好きな人を他の人に知らせているのが嬉しかったのか、最初はすごく喜ばれた。
実は弱み握られているんですなんて、嬉しそうな先生には言えなかったけど。
その時、ガラッと扉の開く音がして、だんだん足音が近づいてきた。
「ほら、来たかもよ。」
そう言ってニコニコしながら先生はカウンターに戻って行った。
「よっ!」
「お疲れ様。」
軽く手を挙げて挨拶された。
私の前に座ると疲れているのか、そのまま机の上に突っ伏した。
「なんでそんなに疲れてるの?」
「昨日の夜友達と長電話しすぎた。告白するから手伝えーって。誰がそんなの手伝うか。」
めんどくさいと言ってため息をつく。
「でも、その友達は遙人のこと信頼してるから言ったんじゃない?」