セナカアワセ
「今年も絶対あいつのクラスが勝つよ。」




なんて言ってたら、ほんとに勝った。




賞状とトロフィーを貰って高く掲げている姿を見て、なんかキラキラしてるなって思った。



本当に毎日が楽しそうな人。



体育祭が終わって、打ち上げに誘われたけど、俺は1人図書室にいた。



久しぶりに運動して疲れたのもあったけど、なんとなく来たいと思った。



本を探していると、廊下から聞こえる足音。




規則的なリズムで走っている。



ドアの前でピタッと足音が消えると、



「失礼しまーす。」



と、小さな声がする。



なんか聞いたことある声だと思って、本棚から覗くと、さっきまで走り回っていた那美佳の姿が。



あいつ、まだ走ってんのかよ。



「あっ、これ頼んでたやつ!」



とかなんとか、誰もいないと思っているのか独り言が聞こえる。



すると、本を突然置いてまた教室を飛び出して、廊下を走り出す。



さっき、何見てたんだろう。



そう思ってカウンターに近づくと、そこにあったのは分厚い本。



これって、古典?



ちょっと古いその本をパラパラ捲っていると、



「あれ?遙人君いたんだ。」



図書の先生が帰ってきた。



「これ、なんの本ですか?」



「あっ、これー?これは、枕草子。ちょっと古めのやつ探してって言われたんだよねー。ほんとにマニアックなんだよなー。」



そう言って嬉しそうに笑う。



「もしかして、誰か来た?」



「はい。名前、那美佳?だっけ。体育祭で目立ってた人。」



俺がそう言うと先生が声を上げて笑った。


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