セナカアワセ
「体育祭で目立ってた人ってっ!!あー、確かに目立ってたけど。そっかー。早く渡してあげたかったんだけどなー。」



先生は入れ違いになっちゃったなと本に那美佳と書いて一番最初のページに挟んだ。



「なんか、意外だと思った。あんなに、動き回っている人こんなの読むなんて。」



「ふふっ。人はね、何かのきっかけで虜になるものだよ。今まで興味なかったものが気になってしょうがなくなる。もう気づいた時にはそれに夢中なんだ。」



確かに、そうかもしれない。



俺も先生があの本を渡してくれなかったら、今ここにいない。



「ね?そうでしょ?」



俺の考えいることが分かったのか、穏やかな笑顔で言った。








テスト期間になっても俺は図書室に来ていた。



そして、また那美佳を見つけた。



気づかれないようにしてたのに、本を落としそうになって那美佳に気づかれた。



おれはちょっとふざけて、



「じゃーーん!なんちゃって!」



って言ってみた。



明らかに嫌そうな目をする那美佳。



そこで知った那美佳の秘密。



俺からしたら、そんなの隠すことでもないって思ったけど、どこか真剣な目をして言うから、俺はちょっと虐めたくなって、交換条件を出した。



なんとなく興味を持った。



那美佳って言う人に。



それからあんまり会うことはなかったけど、文化祭の打ち合わせで出会って、そこで初めて那美佳が副会長だと分かった。



知れば知るほど、那美佳という人が分からない。



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