セナカアワセ
お化け屋敷を出ると、顔を隠す那美佳。



もう、目が赤いのなんてバレてるけど、黙って中庭まで連れてきた。




一旦落ち着いた後、一緒に回った。




そう、その時思ったんだ。



最近の俺は、昔みたいに笑えてるって。




出会ってから、俺は凄く笑っている気がする。




友達にも図書の先生にも笑ってるねと言われるし。



那美佳の笑顔につられて笑う時もあるし、一緒に話してて自然と笑ったり。



移動教室の時も無意識に後ろ姿を探したりして。



惹かれているのは、なんとなく気づいていた。






冬になって、いつかの帰り道。



那美佳と帰っていると、ここが行ってみたいと写真を見せられた。



あれ?



これ、妹も行きたいって言ってたな。



家に帰って妹に聞くと、人気だから急がないとチケット無くなるよと言われた。



別に一緒に行くなんて約束してなかったけど、サプライズにして驚く顔が見たかった。



そんな俺を知ってか、お兄ちゃんデートするの?と聞かれた。



うーーーーん。




「まだ誘ってる途中。」




そう答えると、へー頑張ってと、ニヤニヤされた。







< 66 / 160 >

この作品をシェア

pagetop