セナカアワセ
みんな、みんな、運動している私が好きで、私の話を聞いてくれなかった。




ううん、違う。




彼の話だけしか聞かなかった。




だから言えなかった。



「堂々としていたけど、周りから言われる言葉に耐えられなくなったっ。部活にも行けなくなって、バドミントンだけやってた。ストレス発散みたいに、毎日毎日!」



私が話すと栞里が頷きながら背中をさすってくれた。



だんだんと私も落ち着いてきて、もう大丈夫というように、栞里から離れた。



「だから家の近くの学校に行くのやめた。誰もいないところで最初からやり始めたかった。、、、好きなことを隠して。だから、言えなかったっ。栞里にもっ!言いたかったけど、過去のこと思い出して、辛くなって、言えなかった。」



親友に隠し事してることも正直辛かった。



相談したかった。



でも、また同じことになるんじゃないかって思った。



「うん、、、、ありがとう。話してくれて。でもね、私は那美佳の好きな事、否定しないよ。大丈夫だよ。逆になんで那美佳が国語出来るのかやかって嬉しい!」




そう言って笑う栞里をキョトンと見つめる。



「だってー、不思議だったんだもん。こんなに運動しかしてない人、本も読まずに国語の点数あんなにいいなんて。どっか変だなーって思ってた!!でも今、それが分かって、辛いこと話してくれて、嬉しいよ!」




話してくれてありがとうね、って栞里が笑うから私は嬉しくてまた泣いてしまう。



もう泣かないでって、ハンカチで私の涙を拭く。



「それにしても、元カレ最悪だね。私本当に殺したくなった。」



「殺しっ!?」




「そうだよ!誰だってそんなこと言われたら、パンチのひとつくらいしてやりたくなるよ。」



そう言って拳を振り回す栞里がちょっと怖い。



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