The☆ブラバン





それにしても、明らかにヒロエからは不安など感じられない…


「ねえ、なんかすっごくうれしそうなんですけど…」


「え?…ああ!!早く部活に入りたいからだよ」



なぜかニヤニヤと笑うヒロエをよそに、ウチは嫌なことを思い出していた







さかのぼること2週間前、ウチは東雲東中…めんどうだから東中ってこれから略すけど、女子ソフトボール部の特別合宿に参加していた。




なんでかっていうと、ウチの住んでる県ではもともと『スポーツ少年団』っていう健やかな子供の育成を目的にした活動をそれぞれの学校でやってて、ちょうど東中のまわりの小学校はどこも強制的にソフトボールをやってた。




それに目をつけた東中のソフト部の監督さんが、部員獲得のため考えた方法がこの合宿だったってわけ。



バッターセンスだけは良かったから、調子に乗って参加したのがウンの尽き。


2日間におよぶハードな合宿…初日の緊張や疲れと施設のごはんが体にあわなかったらしく、2日目には持病の偏頭痛を引き起こしてしまった。



ベッドにゲロるわ、先輩や友達に迷惑かけるわ、同伴してた友達のおかあさんに帰るまで看病してもらって…






散々な2日間のせいで、すっかりソフトへのやる気は失せてしまった。




しかし、入部しないならしないで既に顔見知りの先輩に目をつけられてしまう…




それが一番恐いのだ…











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