【完】さつきあめ

「まぁ、あんたにも、バースデー月だからって遠慮はしないわよ?」

「や、それは勿論です…。別に遠慮されて勝っても嬉しくはないので」

「あんたは…ゆいとは全然性格が違うのね。
仲がいいのが不思議だわ…」

「あ、それあたしも思います」

「ふぅ…。それよりVIPルームにあんたの指名入ってるみたいだけど、どういう関係なの?」

「VIP?指名?」

今日来客をするお客さんの予定で、オープンから店に来ると言っていたお客さんはいない。

「あんた、社長と付き合ってるんじゃないの?」

「や、それは誤解です。
わたしとあの人の間には何もありません」

「THREEでも、他の系列でも、ずっと噂になってるのよ?
シーズンズのさくらと社長が付き合ってるって…」

「本当にわたしたちは何もないんです」

何もない。その事実が悲しい。
実際わたしと光の間には男女の関係もないし、好きだと言われても付き合ってもいない。
付き合っている。それが事実であればどれだけ良かったのだろうか。

「じゃあ、マジで会長なわけ?」

「会長?!」

ないないともっと大げさに否定する。
一体どこでどんな噂が流れているのだろう。

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