【完】さつきあめ
「全然嬉しくなさそうだな」
高橋が苦笑しながら言う。
ソファーに寄りかかりながら、煙草に火をつけふーっと天井に吐き出す。
「俺は待ってるのかと思った」
「待つ?」
「今日社長が来てくれることを、さ。
さくらはずっと、今も待ってるんだと思ってた」
高橋の吸っていた煙草を奪い取り、大きく肺の奥まで吸い込んだ。
「ゴホッ」
「馬鹿か、お前」
「まず…。こんなん吸ってるなんて人間じゃないよね…」
口いっぱいに煙草の嫌な味が広がる。
あの日を思い返していた。
「お前は毎日俺の機嫌とって、俺の前で尻尾ふって、ただ俺の物でいればいい」
あの日、冷たくわたしを見下ろした朝日におしぼりを投げつけた。
一瞬怒った表情になった朝日は、わたしの右手を強く掴んだ。
「いた……」
殴られる、と思って思いっきり目を瞑ったら、その手の力は段々と緩んでいった。
すると自分の財布を取り出し、中からレシートを取り出し、その裏に何かを書いた。そして、それを差し出した。
「これ…」
「有明が女と住んでる住所。お前の時と同じ女を送り迎えしてるぜ?
嘘だと思うなら有明の仕事が終わる時間に行って見ろ」
高橋が苦笑しながら言う。
ソファーに寄りかかりながら、煙草に火をつけふーっと天井に吐き出す。
「俺は待ってるのかと思った」
「待つ?」
「今日社長が来てくれることを、さ。
さくらはずっと、今も待ってるんだと思ってた」
高橋の吸っていた煙草を奪い取り、大きく肺の奥まで吸い込んだ。
「ゴホッ」
「馬鹿か、お前」
「まず…。こんなん吸ってるなんて人間じゃないよね…」
口いっぱいに煙草の嫌な味が広がる。
あの日を思い返していた。
「お前は毎日俺の機嫌とって、俺の前で尻尾ふって、ただ俺の物でいればいい」
あの日、冷たくわたしを見下ろした朝日におしぼりを投げつけた。
一瞬怒った表情になった朝日は、わたしの右手を強く掴んだ。
「いた……」
殴られる、と思って思いっきり目を瞑ったら、その手の力は段々と緩んでいった。
すると自分の財布を取り出し、中からレシートを取り出し、その裏に何かを書いた。そして、それを差し出した。
「これ…」
「有明が女と住んでる住所。お前の時と同じ女を送り迎えしてるぜ?
嘘だと思うなら有明の仕事が終わる時間に行って見ろ」