【完】さつきあめ
良く言えばレトロな昭和感。悪く言えば、小汚い店。
朝日がこんなお店に来るなんて意外だった。

焼酎の瓶を注文して、2人で水割りで乾杯する。
色気があったもんじゃないけれど、わたしはこういう雰囲気が結構好きだったりする。
光ともこうやってご飯に行ったなぁなんて思い出していた。

「改めて、19歳おめでとう」

「ありがとーございまーす」

テーブルいっぱいに並べられたお肉。
大ライスまで注文したら、「炭水化物も食うなんて、女として」と朝日は言った。それでも朝日も大ライスを注文した。
無言でお肉を焼いて、あっという間に2人で平らげた。
朝日はやせ型だ。よくこんなに食べる、と思う。
そうは言え、わたしもよく食べるけれど、全然太らない。そういう体質なのだ。
光は太りやすいから、と食事は気を使っていた方だった。
わたしが料理を作る時も、よくヘルシーな物をリクエストしていた。

誰といても結局…光の事を思い出すのは相変わらずだな。

「お前って大食いだよな」

「いや、宮沢さんこそ」

「そんな食ったら太るぞ?俺、痩せてる女が好きなんだ」

「あらーじゃあ頑張って太らないとー…」

「てめぇ……」

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