【完】さつきあめ

あんなに拒絶した人物とも冗談を言い合って、こうやって食事をしている。
わたしはやっぱり変わってしまった。
朝日の事は今も許してない。むしろ嫌い。 けれどそれ以上に、わたしは光を憎んでいて、愛していた。愛情と憎しみが紙一重って事は本当だと思う。

「有明も細い女が好きなんだ」

「あっそう」

「でもあいつ自身が太りやすいから気をつけてるらしい。
俺はいくら食っても太らない体質だから、あいつとは大違いだな」

「あたしもいくら食べても太れないんですよねー
あー宮沢さんが嫌いな太ってる女になりたいわぁ~」

「お前みたいな奴は初めてだわ」

肉をつつきながら、朝日は笑った。

「大抵の人間は俺に合わせたり、俺にぺこぺこ媚び売ってくる人間ばっかだからな。
何でかわかる?」

わたしの目を見て、問いかけた。

「宮沢さんが地位のある人だからでしょ」

「男はな、俺が地位のある人間だから媚び売ってぺこぺこ頭を下げて、俺に合わせる。
女は少し違うかな。あいつらは俺の持ってるお金とか、物とかばっか欲しがるんだよな」

朝日は少し傷ついた顔をしていた。

「心から俺を好きになる女なんていねぇんだよ」

へらっと笑って答える、朝日の笑顔が少し寂しそうに見える。

「そんな事ないと思いますけど…。
事実ゆりさんはあなたを本気で好きでしょう」

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