【完】さつきあめ

「何だよ?」

「光になくて、あなたにある良いところ見つけました」

「は?!」

「光は、誰にでも優しい人だったから…それはいいことなんだけど…わたしにとって見たらそれが光の嫌なところでもあったんです。あたしを好きだと言ってくれても、誰かといる時は結局他人行儀で、そういうところ、あたしは寂しかった…。
どんな人の前でも…あたしの事だけ特別って言ってほしかった…」

思い出して、悲しくなる。
好きだったところは嫌いなところでもあったのだ。

「さくら、誕生日おめでとう」

そう言って、鞄の中から袋を取り出した。
朝日らしくない、チープな造りの袋だった。

「え?!だって…薔薇もらったし」

「それは店に義理として贈ったもんだ。
こんなんがお前が喜ぶかなんてわかんねぇけど…。お前は高級なもんやブランドのもんあげたってどうせ受け取ってくれねぇし」

青いリボンを外して、袋を開けると、その中には

「ぷっ…」

「何笑ってんだ?」

ぎろりとこちらを強く睨む。
これは笑ってしまう。
中身はうさぎのぬいぐるみ。耳に桜のチャームのアクセサリーをつけている。
全然朝日らしくない誕生日プレゼントだった。

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