【完】さつきあめ
昨日はるなのヘルプの席でも 俺ははるなみたいな胸のおっきい子と飲みたい って言われたばっかりなんだから。

「スレンダーで無駄な肉がないって褒めてたところなんだけど?

ん~さくらピンクとかふんわりした色似合うと思うけど~
ん~黒で大人っぽ路線もありっちゃありかなぁ~」

悪びれなく言い放ち、高橋は再びワンピースを何着か見比べた。
その時だった。

「へぇ。何の話?
つか何この服の山」

「ひっ!」

足音も立てず、気配も消してわたしたちの後ろに立っていたのは光で、肩越しでまた海の匂いとさらさらの茶色の髪が揺れた。

「社長…気配消して近づくのまじでやめてください」

「はぁ…びっくりした。心臓に悪いのよ、あんたは」

「いやいや、君たちが何やら真剣な顔をして話してるから気づかなかっただけでしょ。
高橋、綾乃おはよ」

すぐに横を向いて、顔と顔数センチの距離で光は「さくらもおはよう」と言った。

…だから近すぎるんだって!!男の人とただでさえ関わったこともないのに、こんなに近くにこられるとドキドキするんだって…。

それを知られないように「おはようございます…」とうつむき加減で小さく挨拶をする。

「いまさくらに似合う色の話してたとこなんすよ。社長はどう思います?」

「ん~…」

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