【完】さつきあめ
「ざけんな!あんまり人の事をなめてんじゃねぇよ!」
「ちょっとおばさん痛いー!離せってばぁ!」
慌てて止めに入る黒服たち、原田はその真ん中で、眉毛をへの字に曲げて呆れるように笑っていた。
「あんたが影でこそこそ何してるか知ってるんだから!」
「だから何?!あたしは強制もしてないし、自分から言い寄ったりもしてない!
それをあたしが悪いなんていうの、八つ当たりって言うんじゃないの?!」
「うるさい!あんたみたいな女が1番大嫌いなのよっ!」
「ただの僻みでしょ?!さくらにどころかあたしにも売り上げで勝てないくせに!
あんたの時代は終わったの!」
先月のバースデー。
もちろんわたしがナンバー1だった。
けれどそれはバースデー期間もあって何となくわかっていた事だった。
わたしが驚いたのは、THREEのナンバー2がゆいだった事だ。
凜が初めてゆいに負けた。しかもゆいとわたしの差は驚くほど開いてはいなかった。それは凛とゆいの差がかなり開いていたという事でもあった。
いつかこんな日が来て、何かに巻き込まれるとはTHREEに入った時から予感していた。
何故にわたしたちは、戦わずして分かり合えなかったのだろうか。
世界から見ればちっぽけな箱の中で、プライドや愛を賭けて、わたしたちはこの戦場で戦う事でしか何も掴めやしなかった。わたしも、あの子も、あいつも。