【完】さつきあめ
「俺は、そんなのいつまでも続かないって思う」
高橋は珍しく神妙な顔つきで言う。
「天然で放っておけないーって男がわかりやすく女に抱く気持ちわかる。
掴めないから、落としたいってのも。 でもいつか絶対努力してる人間に足元をすくわれる
ゆいのやり方を俺は応援したいと思えないから」
そんな事考えていたのか。
わたしは思いもしなかった。
ただただゆいがすごいと思っていた。高橋みたいな考え方もあるのか、としみじみ思った。
「その証拠にゆいの客が離れるのはかなり早い」
「離れたら補充すればいいっていうのがゆいの考え方だからね」
「あいつはどんな事にも必死になった事がないんだろう。
今まで生きてきて、何となく欲しい物は手に入ってきてしまったから。
挫折を知ったら、立ち直れないな」
「ふぅん、そう?
てか熱いー!辛いし、熱いー…」
春の天気は気まぐれ、昨日まで暑いと思ってたら急に寒くなったり
わたしは着ていたジャケットを脱いで、再びラーメンをすすった。
その時、テーブルに置いてあったナイト雑誌が目に入り、手に取ってみる。
THREEも勿論掲載されていて、自分の写真が載っていて今でも不思議な気持ちになる。
凛も、雑誌の中で妖艶に微笑んでいた。
「ねぇ、凛さんて何歳なの?」
「凜さん?30歳くらいじゃないの」
「え?!そんなにいってるの?歳」