【完】さつきあめ
いつか言ってた。
小笠原さんが指名をしてる女の子で、双葉のママで、系列店で唯一ママという役職を持つ女の人。
意外だった。ママと言うのだから貫禄がある女性なのだとは思っていたけれど、想像していたよりもずっと年上の大人の女性だったから。
双葉のママは雑誌に露出していない。だから顔がわからなかったのか。

「小笠原さんからもレイからも話聞いてるの!」

レイという名前にどきりとした。
そうだ、レイは双葉に移籍したのだ。
由真が知っていてもなんらおかしい事はない。

「宮沢さんからも聞いてたし、有明からも聞いてるの」

「光からも?!」

光、と名前を出したら、由真はふふっと小さく笑い、わたしはしまったと思い両手で口を閉じる。

「本当の話だったんだぁ…。
シーズンズからTHREEに移ったさくらを宮沢さんと有明が取り合ってるっていうのは」

「それはちがっ…」

「あと売り上げもすごいわね~…。小笠原さんも言ってた。あなたはゆりよりすごいキャストになるだろうって!
レイもあなたの事すごいって言ってた。
是非THREEじゃなくて双葉に移籍してきて欲しかったもんだけどねぇ」

「小笠原さんや、レイさんも…」

「レイはあなたに会いたがってた。でも合わせる顔もないって言ってた」

「あたしも、レイさんに会いたかったんです!」

その言葉に、由真は嬉しそうな顔をした、

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