【完】さつきあめ
「あ、ごめんね。あたしガサツだってよく言われるの。
着物とかも脱いだら脱ぎっぱなしだし、週に1回来てくれるハウスキーパーの人にも呆れられるくらい」

「いや…全然。お化粧落とした方が幼くなりますね…」

「あらーまだ28歳だからね。ぴちぴち」

「え?!28歳?!」

由真はにやりと笑った。

「あーその反応。もっと歳いってると思ったんでしょう?」

「いや、そういうわけでは…」

「まぁよく言われるわー。きっと着物とか髪形のせいなのかしらね?
歳より老けて見えて嫌になっちゃう…。
でも宮沢さんたちはママという立場だから厳格が必要とか言っちゃって、着物でお店に出るの義務付けられてるの!本当はめんどくさがり屋だから嫌になっちゃう」

そう言って唇を尖らせる由真はやっぱりさっきの姿よりずっと幼くて、さっきよりずっと親しみやすい笑顔でわたしに笑いかける。

「あたしは一応双葉のママって役職をもらってるから、まぁ事務所には毎日のように立ち寄るのね。元々長い付き合いってのもあるけど、宮沢さんとも有明ともよく話すし、色々な事聞いてる。まぁグループ内に広まってる噂もほぼ把握してる。
さくらちゃん、あなたの事は色々な人から聞いてるわ。
あなたはTHREEか双葉に移籍するって話で進んでて、もちろん売り上げのある子は欲しいし、あたしも小笠原さんから話も聞いてたし、是非うちにって希望もしたんだけど、結局はTHREEの方に移籍になったのね」

「そうなんですか?!」

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