【完】さつきあめ

わたしにちっとも似ていやしない。

華やかにこちらを見て微笑みかける女性は、女神のように美しかった。
由真だって十分綺麗なのに、それが霞んでしまうくらい、オーラのある人だと写真を見ただけでわかった。
その美しさはわたしというよりも、ゆりに少し似ていて、朝日の好みは統一しているとさえ再確認する。

「すぐわかるのね」

「何となく…。綺麗な人ですね…」

ぱらぱらとめくっていくと、そこにまた見覚えのある顔があった。

「これ…!綾乃ちゃん…?!」

今よりずっと若い綾乃。そして深海の姿もあった。

「そうそう、それが綾乃と深海。
そう、あなたシーズンズだったもんね。綾乃の事は知ってるよね。てゆーか綾乃からもさくらちゃんの事は聞いてたの。綾乃に見せてもらった写メやお店の宣材写真も見てたけど、さくらに似てるような子って聞いてたけど、写真を見てもあたしはそうは思わなかった。今日実際会っても思わなかったし、写真を見ていたのに実際のあなたに会ってもすぐには気づかなかった。人間ってそんなもんよね」

「ですよね…」

更にアルバムのページをめくっていく。

「!」

「それは宮沢さんと有明」

今よりずっと仲が良さそうに写真に2ショットで写っている2人。
写真の中でも同じブランドの違う型の腕時計をつけて、穏やかに微笑んでいた。
今より若かったけれど、それは確かに朝日と光だった。

< 420 / 598 >

この作品をシェア

pagetop