【完】さつきあめ
よく知る顔が、何枚も何枚も写真の中に収められている。
何ページも何ページも、今とは少し違う顔で、笑っている。
けれど、何ページ目かまでアルバムに手を進めていくうちに、とある違和感を覚えた。
手を止める。
そして再び最初のページに戻り、何度も何度も見直す。
「………」
おかしい。
そうわたしの気持ちを察したのか、由真が1枚の写真を指さす。
そこには皆で写ってる集合写真。
さくらさんと光だけ、カメラ目線ではなく、携帯を開き2人肩を寄せ合い笑う姿が映っていた。
わたしが感じた違和感はそれだ。
どの写真を見ても、光とさくらさんが写っている写真はほぼ2人が身を寄せ合い笑うものばかり。
朝日が写っていても、さくらさんの隣で笑うのは光だった。
何故?深海はさくらさんは朝日の恋人だと言っていた。
「有明とさくらはずっと付き合ってたの」
顔を上げ、由真を見つめる。
そんなはずない、と言いかけた時、それを遮るように口を開く。
「深海からでも聞いてた?
宮沢さんとさくらが付き合ってたって」
こくんと頷く。
由真は神妙な面持ちでアルバムに目を落とす。
「それも嘘じゃない。さくらは宮沢さんとも付き合ってた。
正確に言うと、有明と別れてから宮沢さんと付き合ったって言った方が正しいかもね。
双葉を出すことになってわたしがママになるって話が出た頃からだったかしらね」
「最初は光と付き合ってて、その後に宮沢さんと付き合ってた?」