【完】さつきあめ

「さくらが亡くなってる事は知ってるよね?
宮沢さんと付き合いだして、さくらが亡くなるまで
ずっとさくらは宮沢さんと付き合ってた…。
あの頃の有明は社長になってたけど、さくらと別れた事によって明らかに自暴自棄になってたし、お店の女の子にも何人も手を出していたし、その他でも沢山遊んでたんじゃないかな?」

「さくらさんが…光ではなく、宮沢さんを選んだって事ですよね…?」

由真の顔を見ると、困ったように瞳を揺らした。
どくんどくんと自分の鼓動が高鳴っていくのを感じる。
写真の中では光とさくらさんが笑い合う。光はいつも他人に見せる愛想笑いなんかじゃなく、本当に幸せそうに笑っていた。勿論隣で笑う彼女だって。

「あたしも…深海や綾乃だって想像もしていなかったと思う。
さくらと有明はお店で出会ってからすぐに付き合って、誰がどう見てもお互い好きでたまらなく見えたからね。あたしもさくらから有明の話は聞いてたし、有明からだってさくらの話は聞いてた。
そしてそんなさくらを宮沢さんがずっと好きだったって事も知ってた。
だからある日突然さくらと宮沢さんが付き合いだしたって聞いた時、本当にびっくりしたの」

「さくらさんは…宮沢さんの事を本当に好きだったんですか?」

「それはあたしにもわからない。
さくらは宮沢さんと付き合って、有明が荒れだしてもいつも困ったような顔をしてわたしが悪いの、としか言わなかったし
結局、さくらが自殺したのも宮沢さんと以前暮らしてたマンションで、遺書の1つも残さなかった…。さくらのお葬式の時も有明は見てられないくらい泣きわめいていて、それとは対称的に…宮沢さんはまるで憎むかのようにさくらの遺影を睨みつけてたのが印象的だった…」

あくまでも仮説。
自分の中の考えだ。
さくらさんと光は付き合っていた。
そこから朝日が奪うようにさくらさんと付き合いだした。
朝日と付き合って、さくらさんは死んだ。
本当はさくらさんは光が好きだった。でも何らかの事情で朝日と付き合わなければいけなくなったのではないだろうか…。

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