【完】さつきあめ
「お久しぶりでーす!諸星さんー!」
「やぁやぁさくらちゃんお久ー!」
諸星さんはTHREEで出会った新しいお客さんの1人で、50代の小さな会社の社長さんだった。
諸星と社長仲間の2人で来た席をわたしとゆいが着いて、諸星と一緒に来てた風間さんという、諸星よりももっともっと大きな会社の風間はゆいを指名している。
元々会社付き合いでしかないという2人はプライベートではあまり親交がないらしく、諸星がわたしに会いに来る日もあれば、風間がゆいに会いに来る日もあり、たまに一緒になっても決して相席はしなかった。
ドリンクを注文して、2人で乾杯すると、諸星の目はゆいを追いかけていた。
「どうしたんですか?」
「いやぁ、相変わらず人気者だなぁって、ゆいちゃん」
「あぁ、ゆいは指名多いから」
「さくらちゃんだって多いでしょー?
それにお店ではナンバー1はさくらちゃんなんでしょう?」
「まぁ一応。でも指名の数ならゆいの方が多いかも…」
ゆいは今日も忙しそうに色々な卓に回される。
回された先でノンアルコールのドリンクを持って、お客さんの隣でにこにこ笑っている。
諸星はふぅーっと大きなため息を吐いた。
「なんですかぁ?変なのっ」
「最近風間社長お店に来てる?」