【完】さつきあめ
「離婚するほど、ゆいちゃんの事が好きみたいなんだよね…」
「ゆいは…?」
「いやいや、俺も噂で聞いただけだから、よくわかんないし、風間社長とも直接話したわけじゃないから知らないんだけど、とりあえず会社は本当にやばいってのはわかるよ。
そっかー、ゆいちゃんにはそんな頻繁に会いにきてるのかぁ…」
その日の営業終了後、ゆいはいつものように人懐っこい笑顔を見せ、わたしの側に寄ってきた。
「さくらお疲れー!」
「ゆいお疲れ!
ねぇ、聞きたい事があるんだけど、風間さんの会社がやばいってマジ?」
ゆいは目をぱちくりさせた。
「風間さんの会社?
そうなのー?よく知らないけど、あんなに飲みにきてるんだったらやばくないんじゃないのー?お金なかったら飲めないでしょー?」
何とも呑気な返答だった。
「今日諸星さんから聞いたんだけど、風間さん奥さんと離婚するって。
ゆいの事好きだって言ってたんだけど…」
ぷーっと吹き出すように大笑いするゆい。
「あぁ、あたしのお得意のやつー!
結婚してって迫られたら奥さん離婚してからねってやつー。
風間さん、本当にしつこいの、あたしの事が好きだ好きだって、結婚してって、ありえないよねー。あたしが何でわざわざ年が30も上のおっさんと結婚しなきゃいけないのーって感じ。
でも、ふぅん…。まさか本当に離婚する気があるとは思わなかったよー。会社もやばいならそろそろ切っちゃおうかなー、同伴してオーラスまでいてくれるから楽なお客さんだったんだけどなぁ」