【完】さつきあめ
「…社長」
「お前足はや…」
「…」
「シーズンズに行こうとしたら店から急いで出てくお前を見つけたからさ」
「おつかれさまでした」
腕をほどこうとしても、力強く握られた手が中々離してくれない。
「なんですか?」
「だいじょうぶか?」
「大丈夫って何がですか? 離してください」
「離さない。そんな泣きそうな顔してるやつ、放っておけるかよ」
「大丈夫ですって!社長には関係のないことですから!」
「わからないやつだな…」
握られた手首に入る力が強くなっていって、半ば強引に引っ張られる。
「ちょっ!社長!」
光の手に引っ張られて走り出した体。視界にネオンが広がって眩しい。目の前で揺れる光のサラサラで茶色い髪。広い背中。ふんわりと香る海の色。そのすべてが瞬きを忘れてしまうほどの衝撃だった。
暫く走ったあと、駐車場について「乗れ」と言われるまま、真っ黒の車に押し込まれるように乗せられる。
爆音の流れる車内で、光はハンドルを握りながら煙草に火をつけた。
その横顔が綺麗で暫くぼーっと見つめていると、ちらりと横目でこちらを見る。
目が合ったら逸らしてしまう。そんな瞳の強さをこの人は持っていた。
「お前足はや…」
「…」
「シーズンズに行こうとしたら店から急いで出てくお前を見つけたからさ」
「おつかれさまでした」
腕をほどこうとしても、力強く握られた手が中々離してくれない。
「なんですか?」
「だいじょうぶか?」
「大丈夫って何がですか? 離してください」
「離さない。そんな泣きそうな顔してるやつ、放っておけるかよ」
「大丈夫ですって!社長には関係のないことですから!」
「わからないやつだな…」
握られた手首に入る力が強くなっていって、半ば強引に引っ張られる。
「ちょっ!社長!」
光の手に引っ張られて走り出した体。視界にネオンが広がって眩しい。目の前で揺れる光のサラサラで茶色い髪。広い背中。ふんわりと香る海の色。そのすべてが瞬きを忘れてしまうほどの衝撃だった。
暫く走ったあと、駐車場について「乗れ」と言われるまま、真っ黒の車に押し込まれるように乗せられる。
爆音の流れる車内で、光はハンドルを握りながら煙草に火をつけた。
その横顔が綺麗で暫くぼーっと見つめていると、ちらりと横目でこちらを見る。
目が合ったら逸らしてしまう。そんな瞳の強さをこの人は持っていた。