【完】さつきあめ

「わたしはそんなに掴みどころがある女ですか?」

アイスコーヒーについているストローを回すと、からからと氷の乾いた音が響いた。
朝日はじいっとわたしを見つめた。

「さくらはわかりやすい。
わかりやすく俺を嫌っていて、わかりやすいくらい有明が好きだろ」

「最近は宮沢さんの事、そこまで嫌っちゃいないです。
宮沢さんにだっていいところあるし」

「はっ?!なんだ気持ちわりぃな」

うわっと言った後、本当に嫌そうな顔をした。
それが朝日なりの照れ隠しだとわかってきたのも、この頃からだった。

「あと、凜の事だけど、俺は辞めさせる気はないんだけどあいつ的にはこの系列にいるのがもういっぱいいっぱいみたいだな。双葉とかならTHREEより全然あいつに合ってると思うけど、あいつは面倒見のいいタイプだから、双葉のママの片腕にもなれそうだし」

朝日の言葉に目をぱちくりさせる。
すると、なんだよ、とまたぶっきらぼうに言った。

「意外。そうやって女の子の事考える事もあるんですね?
でも双葉合ってるかも…。由真さんとも上手くやれそうですね」

「そう言えばお前この間由真に会ったんだってな?!
由真が面白可笑しく言ってた!
なんか余計な事聞いちゃいねぇだろうな?!」

ぎろりとこちらを睨む。

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