【完】さつきあめ
「いえいえ、宮沢さんの事はむしろ褒めてましたけど」

「由真…昔から苦手なんだよ…。
同じマンションに暮らしてるから、いつの間にか俺んちのオートロックの解除の方法も知ってるし…まぁ俺のが引っ越ししてきたのは遅かったんだけど」

「そりゃーあなたが酔っぱらったらすぐ寝るくせに同じ過ちを繰り返すからでしょ?!

あ!そう言えば高橋くんや小林さんが言ってたけど、宮沢さん今月誕生日なんですよね?!何か欲しい物とかありますか?」

わたしの言葉に、朝日は怪訝そうな顔をする。

「なんだよ、ほんっと気持ち悪いな…」

「や、あたし宮沢さんに色々貰ってるのに何もお返ししてないし、別に深い意味はないんですけど…」

「お前が買えるような物で俺に買えない物はねぇ」

「………何か欲しい物があったら教えてくださいね。
てゆーか宮沢さん何歳になるんですか?」

「29」

「29?大人ですねー。
わたしなんてまだ19歳です」

「嫌味か?」

「ロリコンかなって」

「ロリって…俺はロリコンなんかじゃねぇー!」

昔光と歳の差の話をしていて、光が俺ってロリコンーと嘆いている姿を思い出した。
あの時はこんな日が来るとは思わなかったのに。
幸せだった時間はあっという間で、会えない時間が長くなっていくのを改めて感じた。

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