【完】さつきあめ
少しだけカフェでお茶をした後、わたしたちは別れた。
たまには電話に出ろよ、と言うから、たまになら、と返したら、また不機嫌そうな顔をした。
別れてから数分。バックの中にいれていた携帯の音が鳴る。
画面を見ると、宮沢さんと表示されていた。
「はい、もしもし」
「うわっ!」
「うわってなんですか…」
「出るとは思わなかったから、びっくりするわー…」
「なんですか?用件は」
「いや、別に、すぐ声が聞きたくなったからかけただけ」
「そういう事さらっと言うのひくわー」
「お前なー。まぁ、今月のゆいとの勝負はあんまり無理するなよ。とは言っても無理はするんだろうけどな、お前の事だから。
でもなんだかんだお前は自分の力で頑張るってわかってるからあんまり心配せずにいることにするわ。まぁそれだけ」
そう言って、電話は切れた。
言い方はあれなんだけど、心配は一応してくれているらしい。
「やっぱ、結構いいやつじゃん」
携帯の画面を見ながら、独り言を呟く。
朝日こそ、よくわかんない所があるよ。
いいやつだったり、嫌なやつだったり、優しかったり、冷たかったり。
なんて、最近朝日と会う事が多いせいか朝日の事を考えすぎてしまうのに気づいて、頭を切り替える。わたしにとって、今はそんな事を考えている場合ではない。今はゆいとの勝負に集中しなくちゃ。