【完】さつきあめ

「せっかく呼ばれたのに結局選べなくて悪かったな」

「いやいやせっかく色々提案してくれたのに何かこちらこそ申し訳ない!
でも久々の休みに涼と買い物行けてなんか癒された~!
今日はありがとうね!」

「いえいえ、しっかしお前さー、そのプレゼントあげる男ってお前の事好きなんだろ?
でもお前店辞めるんだろ…。しかも違う男追ってって…それでプレゼントあげるってちょっと無神経じゃねぇ」

胸の奥がぴりっと痛んだ。
涼の言葉はいつもストレートだ。そして的を得ている。
わたしの表情が曇ったのに気づいたのか、涼がフォローをいれるように言った。

「いや…お前が人情深くて優しいやつってのはわかるけどさ」

「あたしはそんな奴じゃないよ」

わたしはやっぱり自分勝手なんだ。
誰かのため、と言ったって、結局は光の事しか欲しくなくて、光の愛だけを望んでいて、お店も中途半端に辞めようとしている、今だって。

「自分の幸せだけ考えるのって、そんなに悪ぃ事じゃねぇよ」

まるでわたしの心を読んだかのように涼が言った。

「お前は1人だけだし、お前の気持ちだって1つだから。皆が全員幸せになれる結末なんてないんだからさ…」

「でもやっぱり…あたしが宮沢さんに誕生日プレゼントを渡すのって無神経だよね…
宮沢さんにも、光にも…」

「俺が男だったら去ってく女にプレゼントなんて貰ったところでバカにされてる気持ちにはなるね」

やっぱり涼ははっきり物事を言ってくれる。
だから好きなんだ。

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