【完】さつきあめ
「大体その光って奴とお前を引き離そうとしたりしたのも宮沢って奴なんだろ?
俺にはそんな男の誕生日を祝おうっつーお前の気持ちも全然わかんねぇけどな」

朝日は確かにわたしと光を引き離した。
でも再びめぐり合わせたのも、あの人だ。
あの日わたしは朝日に頼って、でも目が覚めた時朝日の姿はなかった。光を代わりにして。
本当は朝日が悪い人じゃないってもうわかってた。
過ぎていく時間の中で、あの人を誤解してる部分がたくさんあったのはわかった。

それに、さくらさんが光を好きだったなんてわたしの勝手な想像で
朝日のせいで自殺したっていうのもわたしの都合の良い解釈だ。
本当の気持ちなんて、さくらさんにしかわからないのに。

それでも人は何が善か悪かをつけたがるものだから。

うーん、と考えて、顔を上げた時、だった。

涼の肩越しに、よく知ってる顔がいて、わたしと目が合った瞬間、明らかな嫌悪感を見せた。

「こんなところで何やってんだ、お前は」

手に持っていたフォークが、カシャーンと音を立てて落ちた。
目の前にいた涼は振り返って、振り返った涼を、朝日が睨みつけていた。

「何か似てる顔がいんなと思ったらお前か。
てゆーか、この男誰?」

「は?あんたこそ誰?」

涼も負けじと朝日を睨み返す。
喧嘩でも起こってしまいそうな勢いだ。

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