【完】さつきあめ
「有明有明とか言ってたくせに、違う男かよ」

「宮沢さん、ちょっとやめてください、涼とはただの友達です」

涼をひとしきり睨みつけた後、ちっと大きな舌打ちをして、朝日は自分の席に戻って行った。
朝日は見るからに柄の悪そうな男とテーブルを囲んでいた。
仕事の付き合いだろうか。

「何、あの人…」

涼は不機嫌になって、再び朝日の顔を見つめた。

「あの、その、例の今日誕生日プレゼントを選んでもらった男の人です」

「はぁ?!じゃああいつがお前のお店のオーナーってやつなわけ?」

「うん、そうなるね」

「マジか、びっくりした…。
あんな若い人だとは思わなかったから。オーナーつって自分の店の女に熱を上げてるような男だから気持ち悪い中年のじじいをイメージしてたわ」

「いや、まだ20代だからね」

「へー、ふーん。てかびっくりしたんだけど」

「うん、それは聞いた。さっさとお店でよ、あの人暴君だし、どんな因縁つけてくるかわかんないし」

涼はもう一度朝日の顔を見て、すぐにわたしの顔をじいっと見た。

「いや、びっくりしたってのはお前の店のオーナーって事だけじゃなくて
あの人似てたから」

「似てた?」

「前、キャバ嬢の元カノの話したろ?
二股されて浮気されて結局別れたってやつ」


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