【完】さつきあめ

「もしもし?」

「で、プレゼントは?」

「…結局宮沢さんの好きそうな物1日中探したけど見つかりませんでした…」

「いま、欲しい物、見つかったわ」

また、嫌な予感がした。

色々あった8月の終わり。
朝日の誕生日に、何故かわたしはトリガーにいる。
誕生日の日、仕事終わりでもいいから、涼の働いてるトリガーに行きたい。それが朝日の望んだ誕生日プレゼントだった。

お店に入った瞬間、朝日を見た涼があからさまに嫌な顔して、裏から出てきた遥が慌てて私たちの席に駆け寄ってきた。

「宮沢さん!!」

「おう、久しぶりだな、遥」

「びっくりですよ~!宮沢さんがうちの店に来るなんて珍しいですね~!
そっかそっか、宮沢さんはさくらちゃんのお店のオーナーさんですもんねっ!
ゆっくりしていってくださいね」

どうやら遥と朝日は知り合いらしい。
とびっきりの笑顔を見せて遥は挨拶をした。

「宮沢さん、遥さんと知り合いなの?」

「この街で俺を知らねぇやつの方が少ねぇだろ。ましてや経営側なら」

不敵に笑う朝日と、怪訝そうな顔をして私たちの前に座る涼。
気まずい雰囲気だ。何故わざわざ誕生日にトリガーに来ようっていうのだろう。

< 483 / 598 >

この作品をシェア

pagetop