【完】さつきあめ
「飲み物どーしますか?」

「あたしの焼酎のボトルあるけど…」

「ボトル?!お前ホストなんかに通ってボトルなんて空けてんの?!」

「…ここホストクラブじゃないですけど…」

ホストがどれほどお金がかかるかなんて知らない。
けれどトリガーで涼と仲良くなって1人で飲みにきたのもここ最近。
結構な時間長居していても、キャバクラでお客さんが1セット払う金額の方がずっと大きい。そもそもトリガーは指名料すらも発生しないし。
また涼の機嫌が少し悪くなるのを感じた。

「男に金払って飲むなんて俺にとっちゃー全部ホストと一緒なんだよ」

「…誕生日ですし、シャンパンでも飲みますか?
ドンペリでもアルマンドでも好きな物どーぞっっ」

「シャンパンは嫌い。お前の入れてる焼酎のボトルでいい。
おい、小僧、水割りな」

小僧って…。
これ以上涼の機嫌をそこねる発言ばかりして欲しくない。
涼は無言のまま、焼酎の水割りと緑茶割を慣れた手つきで作り始めた。

「涼も好きなの飲んで!」

「お前は水でも飲んでろ」

「宮沢さ~ん!いい加減にしてよ~!」

「はぁ~、ホストに通う女の気持ちがしれねーなー」

わざとらしくため息を吐いて水割りをぐっと飲み込む。
だからホストじゃないって…。
嫌な雰囲気が辺りを流れているのがわかる。

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