【完】さつきあめ
「社長になった時あの人から貰ったんだ」
腕時計に視線を落とし、ぽつりと呟く。
「さくら、全部知ってるよな?」
「腕時計の話は今聞いた。宮沢さんから貰ったんだね」
「そう。
あのさ、俺夕陽には酷い事ばかりしてきたけど、自分勝手な事ばかりして沢山傷つけてきたかもしれない。
それでも俺は夕陽と一緒にいたいんだ。
俺と夕陽が七色グループにいる限り、俺たちは一緒にはいられない。
だからこそ、俺は……」
「だから七色グループを潰して、宮沢さんも潰すの?」
わたしの言葉に光は一瞬悲しい顔をして、左手の腕時計に目を落とした。
「それがあたしのためでも、光は間違ってるよ…。綾乃ちゃん、泣いてた。昔みたいに戻りたいって…」
綾乃の名前を出すと光はもっと悲しい顔をしたから、光は綾乃をとても大切にしている。
それは朝日だって同じだ。
綾乃を大切にする気持ちがあるのなら、どうして光と朝日はお互いを大切に思えないの?
「無理なんだよ、俺とあの人は…。
嫌だな、血って…。切っても切り離すことも出来やしない。
それなのに、俺もあの人も好きになる女は一緒だ。何の、因果かな」
光の真っ直ぐな瞳がわたしを掴んで離さない。
それでも優しい光が、朝日の話をする時は時折冷たい瞳を覗かせる。
腕時計に視線を落とし、ぽつりと呟く。
「さくら、全部知ってるよな?」
「腕時計の話は今聞いた。宮沢さんから貰ったんだね」
「そう。
あのさ、俺夕陽には酷い事ばかりしてきたけど、自分勝手な事ばかりして沢山傷つけてきたかもしれない。
それでも俺は夕陽と一緒にいたいんだ。
俺と夕陽が七色グループにいる限り、俺たちは一緒にはいられない。
だからこそ、俺は……」
「だから七色グループを潰して、宮沢さんも潰すの?」
わたしの言葉に光は一瞬悲しい顔をして、左手の腕時計に目を落とした。
「それがあたしのためでも、光は間違ってるよ…。綾乃ちゃん、泣いてた。昔みたいに戻りたいって…」
綾乃の名前を出すと光はもっと悲しい顔をしたから、光は綾乃をとても大切にしている。
それは朝日だって同じだ。
綾乃を大切にする気持ちがあるのなら、どうして光と朝日はお互いを大切に思えないの?
「無理なんだよ、俺とあの人は…。
嫌だな、血って…。切っても切り離すことも出来やしない。
それなのに、俺もあの人も好きになる女は一緒だ。何の、因果かな」
光の真っ直ぐな瞳がわたしを掴んで離さない。
それでも優しい光が、朝日の話をする時は時折冷たい瞳を覗かせる。