何度記憶をなくしても、きみに好きと伝えるよ。
消えてしまった想い
夏休みの間、私と中井くん……じゃなかった、悠は一緒に過ごす日が多かった。

図書館で一緒に宿題をしたり、お弁当を作って動物園や大きな公園へ行ったり、電車に乗って少し遠くの海へ行ったり。

私達は喧嘩をすることもなく、穏やかに仲良く、夏休みを満喫した。

お盆休み中は、親戚の家に行くとのことで、悠とは会えなかったけれど。

昔から毎年家族で遊びに行くのが彼のお盆休みの定番らしい。なんでも、仲のいい従姉妹の子がいるとか。

まあたった数日間だし……とお盆休みが始まる前はタカをくくっていたが、思ったより寂しさを感じて、やけに長い数日間だった。

ーーまあそんな風に思っていたことは悠には内緒だけれどね。

そんなわけで、お盆休み以外は悠と毎日のように過ごした、夏休み。

ずっとずっと、この先何年も。悠とこんな風に、のんびりと過ごせればいいな。

ずっと一緒にいようという、花火の前での誓いが守られればいいな。

きっとそれが私の一番の幸せだ。

そんな想いを抱いているうちに、私の高校一年生の夏休みは終了した。
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